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豊中市を浸水被害から守る救世主 下水道バイパス工事の真相に迫る!

こんにちは!
現在阪急豊中駅の近くにある稲荷山公園を拠点とした下水道管の新設工事が行われています。
その下水道管は、国道176号から府立豊中高校付近へとつながり、全長約1.7kmに渡るとても大規模な下水道管です。
豊中市では下水道の普及率はほぼ100%に達しています。それなのになぜ、豊中市にとってこの新しい下水道管が必要なのか、この工事で設置される下水道管がどのような役割を果たすのか。
お恥ずかしながら私自身、このnoteを書く前は明確に理解していませんでした。
しかし、知れば知るほど面白いこの下水道工事の意義を皆さんにお伝えしたく今回noteを書かせていただきました!
ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。


下水道の役割についてきいてみた!

そもそも下水道の役割とは?
今回の工事の目的ってなんだろう?
・・・と、知りたいことがいっぱいあった私。
ここはプロフェッショナルに聞くしかない!と豊中市上下水道局へ。
下水道建設課の黒瀬係長と西澤さんにお話を伺いました。

下水道建設課の西澤さん(左)と黒瀬係長(右)

―下水道の役割から教えてください!
下水道は、市街地に汚水が滞留しないように排除し公衆衛生を保ったり、河川や海など公共用水域の水質を保全したりと、その土地に住む人や生き物が生きていくために必要不可欠なインフラとして大切な役割を担っています。
そして近年では、頻発する集中豪雨などが原因で発生する浸水被害を防ぐために、下水道の存在がより一層クローズアップされています。

時代の移り変わりとともに下水道の役割も変化しています。

 ―豊中市の過去の浸水被害とは?
大規模なものでいうと直近では、2006年(平成18年)8月22日に発生した大阪府北部豪雨による浸水被害です。
昼過ぎから降り始めた激しい雨の影響で、瞬く間に道路が冠水してしまいました。
市内総降雨量は116ミリを観測し、1時間の最大降雨量は110ミリでした。

当時の市役所前の様子です
こちらは大池小学校前。
銀座商店街も。

このような浸水被害は下水道管の処理できる能力が大雨により追いつかなくなったことが原因で起こります。
解消するためには、新たな下水道管を設けるなどにより、処理できる能力を高める必要があります。

―なるほど。過去の被災を教訓に今回の工事につながったのですね。
そうです。豊中駅周辺は地形の関係で、昔から雨水が溢れやすくなっています。昭和26年にスタートした豊中市の公共下水道事業は、豊中駅周辺の浸水軽減をめざしたのが始まりだったんですよ。
今回の工事は、同エリアの浸水被害を軽減するために雨水を別ルートへ誘導し一時的にためる流下貯留型のバイパス管「新免幹線(しんめんかんせん)*」を整備するものです。

今回の工事で図の赤色の管が新設されるとのこと

*新免・・・豊中駅周辺の古い地名。

―工事の進み具合はいかがですか?
令和3年(2021年)2月から新免幹線の整備事業が始まり、稲荷山公園から国道176号の千里川手前(玉井町4丁目)までおよそ1kmの距離を施工しました。
これを1期工事として進め、令和6年(2024年)11月29日に完了しました。
今施工しているのはの2期工事となります。稲荷山公園から豊中高校の正門前までの距離を掘り進め、新設管を整備しています。
現在のところ令和8年(2026年)12月に完了する予定です。

今回完了した工事は赤色のライン。

この新免幹線工事について、市のHPでも写真付きで詳しく掲載していますので、ぜひご覧ください!

1期工事が完了したことを機に、市民の皆さんを対象に下水道工事見学会を開催するとのことで、下水道について知るチャンス!と見学会の様子を取材してきました。

いざ潜入!下水道工事現場へ

見学会が開催されたのは2024年12月8日。
この見学会は多くの市民の皆さんが関心を寄せていただいたそうで、323名もの応募があり、抽選で選ばれた60名が参加してくださいました。

09:30 見学会スタート

参加者は子どもから大人まで幅広い世代の人が参加されており、皆さんめったに見られない工事現場の風景に興味津々のご様子。
工事現場の稲荷山公園防音ハウスで受付を済ませた参加者一人ひとりに、安全確保のためのヘルメットと軍手が手渡され、見学会スタート。
まず、スクリーンに資料を映しながら上下水道局の職員による工事の説明が行われました。

皆さん真剣なまなざしでスクリーンを見ていました

過去に豊中市で発生した大雨による浸水被害や、今回の新設管がどのような役割を果たすのかなどの説明がなされ、参加者の皆さんも真剣なまなざしで聞いておられました。

10:15 地下15mの立坑へ

職員による説明が終わると、いよいよ実際の工事現場の見学です。ここからは3つの班に分かれて

① 立坑へ降りて新たに施工された下水道管の見学
② 工事現場で使用される機材の見学
③ 掘削添加剤とその効果の実証

をそれぞれ見て回りました。

私の班は、まず立坑(たてこう)と呼ばれる垂直に彫られた坑道を降りて1期工事で完成したばかりの下水道管を見学しました。
立坑の地上からの深さはなんと約15m。5階建ての建物と同じ高さです。
上からのぞき込むのも緊張しました。

カメラを持つ手も震えます

この下に新しい下水道管を見ることができるそうなので、立坑の最深部まで階段で降りていきます!

とは言ったものの、この高さを降りていくのはなかなか怖かったです。。

なんとか無事に立坑を降り、完成したばかりの下水道管を見学します。
新しくできた下水道管は直径2mで、今回はその中にも入ることができました。

ほんのり下水の臭いもしました。(笑)

この見学会開催前日に雨が降ったため、この新設管にも雨水が流れていたようです。
今後豊中に大雨が降った場合、冠水しないようにこの新設管が我々を助けてくれるのですね。

立坑での下水道管見学が終わると、また建物5階分の高さを上って地上に戻ります。

下から撮った立坑もまた違った景色に見えます

上りでは高さへの恐怖心はないものの、そのかわり下りよりも足の筋肉を使いました!

10:43 工事現場で大活躍する建設機械を見学

次は下水道工事で活躍する重機を紹介してもらいました。
まず見せてもらったのは、ラフタークレーンという重たいものを持ち上げて移動させる機械です。

当日は重さ300Kgの荷物をクレーンで素早く上げ下げする様子を見ることができましたが、実際は25トンもの重さを持ち上げることができるそうです!

ものすごい速さで持ち上げる様子に「おお~」という声も聞こえました

続いては高所作業車の見学。
この機械は、その名の通り人の手が届かないような高いところでの作業をする際に活躍します。
実際に参加者を乗せてその性能を見せてくれました。

私も乗ってみました!

昇降装置により高所へ延びるだけでなく、作業床が旋回もできるのでまさに細かいところに手が届く機械ですね!
この日はお天気にも恵まれ快晴でしたので、隣の稲荷山神社を眺めることができ、同乗した参加者と「紅葉も相まってきれいですね~」とお話ししました。

以上で建設機械の見学は終わり、最後の見学ブースへ向かいます。

11:13 どんな泥もとろとろに!手で触れて学べる加泥試験

次が最後の見学、シールド工法と掘削添加剤について学びます。

シールド工法とは、今回の下水道工事で取り入れられたもので、シールドマシンという機械を使ってトンネルを掘り進めていく工法です。

先端のカッターが回転しながら土を掘り進んでいくのですが、その姿から鉄のモグラと呼ばれているそうです。

見学会では見ることができませんでしたが、こちらがシールドマシンです!

掘り進む土は硬い性質のものや柔らかい性質のものなどさまざまあり、ただ単にカッターで掘り進んでいくと掘削に時間がかかるほか、場合によってはカッターが破損してしまいます。

なので、このシールド工法では、掘削添加剤と呼ばれる各土質にあった液体を配合することで、硬い土や粘り気のある土などをふわふわの土質に変え、掘り進みやすくしています!

カチコチの土があっという間にふわふわです

今回の見学では、異なる性質を持つ土に掘削添加剤を混ぜ合わせ、実際に土の質感が変わる瞬間を体験することができました。

私もこの後触らせてもらいました。

大人の参加者も夢中で土を触っているのが印象的でした。
科学の力ってすごいですね!

見学会は以上で終了し、最後に職員への質疑応答やアンケートの回答時間となりました。

12:06 見学者へインタビュー!

見学会が終了した後、参加したご家族にインタビューさせていただきました。

快くインタビューに応じてくださった塚本ファミリーの皆さん✨

―今回この見学会に参加されたきっかけを教えてください! 
豊中市のイベント情報をチェックしていた時に、今回の見学会のことを知りました。新しい下水道管を見ることなんてめったにないので行ってみたいね、と家族で応募することにしたんです。

ー実際に参加してみていかがでしたか。
見学会でないと体験できないようなことを、たくさん見せてもらったと思います。子ども達も非常に楽しんでいました。
そのまま土を掘っているだけかと思っていましたが、機械が負担なく土を掘れるように科学の力を使っているなんて思ってもみなかったですし、見学会に参加したからこそ工事に携わる皆さんの努力や工夫を知ることができたのでよかったなあと感じました。

この工事が豊中市をより良くするために本当に必要なものなのか、そんな疑問が払拭されるようなわかりやすい見学会だった、と話してくださいました。

塚本ファミリーの皆さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!

新免幹線の完成をめざして

新免幹線の工事は、第2期工事がすでに着工されており、今回の見学会で見た立坑から、シールドマシンが豊中高校をめがけて地中を掘り進めています。
私たちが普段使用している道路の下を、大きなマシンが掘り進んでいるなんて改めて驚きですよね。

西澤さんから、
「次の2期工事についても見学会を企画しようと思っているのでぜひ参加してほしいです!」
との最新情報をいただきました!
開催時期は未定ですが、決定次第上下水道局のホームページに掲載されるので、引き続きどうぞご注目ください!

また、今回取材した下水道工事見学会の様子は、市公式YouTube「とよなかチャンネル」Short動画で紹介しています。
1分ほどの長さで気軽に楽しめる内容となっていますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

ここまでご覧いただきありがとうございました。
引き続き豊中市のnoteにご注目ください!