豊中市の花 バラにまつわるエトセトラ
初夏を迎え、通りや公園で生き生きと葉を広げて咲き誇る草花に出会う機会も多くなってきました。
これら多くの草花の中に、実は豊中市には選ばれし「市の花」があるんです。その花とは「バラ」。皆さんご存じでしたか?
市の花がバラに決まった経緯から、見頃を迎えるスポットまで豊中市にまつわるバラのお話をまるっとご紹介します。
市の花バラについて
バラの魅力
バラは、バラ科バラ属の総称であり、その多くが葉や茎に棘を持っています。
観賞用のほか贈り物として使われたり、ローズオイルやローズウォーターとして香水やアロマセラピーに使用されることもあります。
バラの花言葉は「愛」や「美」など花の華やかさから連想されるものがあり、花弁の色や花の本数などで意味が変わると言われます。
ローズガーデンなど大規模に植栽されているものから、家庭で栽培されるものなど様々な場所色とりどりのバラが育てられています。
バラの見頃は年に2度あり
春 5月中旬から6月初旬
秋 10月中旬から10月下旬
に最も美しく咲くバラを見ることができます。見頃を過ぎても二番花、三番花と新しいつぼみができ次の花を咲かせるため、長く楽しめます。
なぜ豊中市の花はバラなの?
豊中市では戦後、都市化が急速に進むなかで、農地や山林が住宅地へと姿を変え徐々に市内の緑の割合が減っていきました。そのため、緑を保護しながら緑の割合を増やしていこうという動きが市民と行政の中に生まれます。
昭和41年(1966年)10月に市制施行30周年記念として豊中市の花と木が選ばれました。
その時のキャッチフレーズは「町を緑に」です。
市内に名所があったり花卉栽培の特産物となっている身近な花・木から6種類を候補に選び、市民公募の結果、市の花には「バラ」が、市の木には「キンモクセイ」が選ばれました。
なお、市の花の投票結果は以下の通りでした。
バラ 450票
ハギ 152票
コバノミツバツツジ 54票
ナツギク 35票
ナデシコ 28票
カンナ 24票
当時の広報紙では、「みなさまも植樹のときは、ぜひこのバラをお選びください。そして町を緑にの運動にご協力ください」と呼びかけています。
市にゆかりのあるバラたち
数多くの種類があるバラの中には、市にゆかりのあるものがあり、市内のバラ園でもご覧いただけます。
・「平和のシンボル」~ピース~
豊中市は昭和58年(1983年)に非核平和都市を宣言しています。このことから「市の花」として紹介する時には、平和という意味を持つピースという品種をシンボルにしています。
ピースは淡い黄色の花を咲かせる大輪のバラで、二ノ切池公園や清谷池公園のバラ園で見ることができます。
・「姉妹都市から贈られたバラ」~クライスラーインペリアル~
豊中市は昭和38年(1963年)にアメリカ西海岸に位置するサンマテオ市と姉妹都市提携を結んでいます。
提携から25周年と50周年を迎えた年に、両市の友好を願ってサンマテオ市から贈られたバラがニノ切池公園で大切に育てられています。
25周年のバラは、サンマテオ市議(当時)が、前年に豊中市を訪れた際に、二ノ切池公園のバラ園に感激され、バラの苗木6株を豊中市に贈ったものです。
50周年にはクライスラーインペリアルという品種のバラが贈られ、当時親善大使として市内のホストファミリーの家に滞在していたサンマテオ市の高校生も植樹式に参加しました。
二ノ切池公園バラ園のリニューアル(2022年)に合わせて表示板を新調し、両市の友好の歴史を伝えています。
バラ園でインタビューしてみました
・バラ園を管理する人
バラは市の花なので、市民や公園を訪れた人に、綺麗に咲いた花の姿を見てほしいと思っています。そのためにも週に1度は手入れをしています。具体的には枝を取って風通しを良くしたり、花のつぼみを剪定したりしています。こうすることで、より大輪のバラを咲かせることができ、咲き誇るバラを楽しんでいただけます。
市内に4か所あるバラ園でそれぞれ趣向を変え、二ノ切池公園ではイングリッシュガーデンのようにより身近に感じていただけるよう、バラ園づくりをしています。これからもきれいなバラ園をつくり、皆さんに楽しんでいただくとともに、もっとバラのことを知ってもらいたいと思います。
・バラ園を訪れた人
二ノ切池公園に来たのは10年ぶりです。子どもが小さい頃はよく家族で来ていました。
散歩にでる時にそういえばバラの季節だなと思い、バラなら二ノ切池公園だなと思ったので少し足をのばして、見に来てみました。家でもバラを育てていて、植物はとても好きです。
市の花がバラであることは知っていましたが、豊中に関係するバラがこんなにあるのは知らなかったので驚きました。
(満開はもう少し先になることを伝えると)
せっかくなのでぜひその時に見に来たいです。
インタビューにご協力いただきありがとうございました。
市内のバラスポット
市内にはバラを身近に感じて楽しんでもらえるように4つのバラ園があります。それぞれのバラ園をご紹介します。
豊島公園
豊島公園は、豊中市で初めてバラ園がつくられた場所です。
花とみどりの相談所もあり、四季を通して花やみどりを楽しむ人々の憩いの場となっています。
バラ園の中央には噴水があり、その周りを取り囲むようにバラが植えられています。
プリンセスミチコやマリアカラス、クィーンエリザベスなど有名人の名前をもったバラをはじめ、様々な種類のバラを楽しむことができます。
アクセス
阪急宝塚線「曽根」駅下車
南へ徒歩5分
ふれあい緑地
平成12年(2000年)にオープンしたふれあい緑地のバラ園は、マリンフード豊中スイミングスタジアム(豊島温水プール)の北・東面にあります。
他のバラ園とは趣を変え、オールドローズやイングリッシュローズを多く取り入れています。
バラをスクリーンやアーチ状に仕立てて、さまざまな角度から楽しめるようにしています。また、ローズマリーなどのハーブも合わせて植えており、開花の時期には、花の香りに包まれ、癒しの空間が広がります。
アクセス
阪急宝塚線「服部天神」駅下車
西へ徒歩15分
清谷池公園
閑静な住宅地の中にあり、落ち着いたたたずまいの清谷池公園のバラ園は、ヨーロッパを思わせる、左右対称・幾何学的という特徴のある※整形式庭園です。
市がシンボルとしている品種のピースをはじめ、中輪咲き種(フロリバンダ)のバラであるピースキーパーや、つるバラのチャールストンなどを植えています。
バラの香りが漂い潤いのある時間が流れる中でゆっくりとバラを眺めていただけます。
※敷地計画から部分の意匠にいたるまで、幾何学的な図形を主とした構成による庭園
アクセス
阪急バス「緑丘」より北へ5分
阪急バス「北緑丘小学校」より南西へ4分
二ノ切池公園
二ノ切池温水プール建て替えに伴って、令和4年(2022年)4月にリニューアルしました。
中央に「黄金のローズアーチ」を配置し、その両側に様々な品種のバラと宿根草を織り交ぜて植えています。
サンマテオ市との姉妹都市提携50周年記念のバラクライスラーインペリアルや市のシンボルであるピースが植えられており、友好親善の絆も感じていただけます。
花壇の間に設けられた歩道にいると、自分がバラに包まれている感覚になります。(オススメ撮影スポットです。)
アクセス
阪急バス停留所「二之切」下車
北東へ徒歩2分
バラ園に行かれた際は、バラは摘まずお写真と思い出だけお持ち帰りください。
今回取材に行ったバラ園には、多くの人が訪れていて市民の憩いの場になっています。緑の中に輝く色とりどりのバラは眺めるだけでも楽しく、また、香りも漂い癒しの空間を作り出していました。
偶然通りがかった人もバラを見て、惹きつけられていたのが印象的でした。バラが持つ魅力はすごいものですね。
市の花バラは市民に選んでいただいた市のシンボルです。
ぜひこの機会にバラのことをより知っていただき、親しみを持っていただければと思います。