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安全安心な水道・下水道サービスのために~いま水道料金・下水道使用料を値上げする理由~

こんにちは!豊中市上下水道局です。
豊中市は、令和7年(2025年)2月1日から、水道料金を平均改定率8.9%・下水道使用料を平均改定率14.1%で値上げします。
題名を見て、今回のnoteは、これまでとは少し雰囲気が違うと思われた方もおられるかもしれません。
豊中市の上下水道を利用いただく皆さまに、豊中市上下水道局が値上げを決めた理由を、真摯にお伝えしたい、そんな思いで今回のnoteを書くことにしました。
 
今回の値上げによるご家庭への影響額としては、2か月で20㎥使用した場合は1,098円の増額、30㎥使用した場合は1,208円の増額、40㎥使用した場合は1,318円の増額となります。


事業を支える要「水道料金・下水道使用料収入」の減少

上下水道事業は、市の会計とは異なり、民間企業の会計に近い「公営企業会計」を採用し、水道料金・下水道使用料で事業を行う「独立採算制」が適用されています。
独立採算制とは「事業経営で得た収入によって事業を運営しなければならない」という原則のことです。 

淀川や猪名川から水を取り込み、浄水場で飲める水に変え、ご家庭や事業所まで水を届ける。
トイレやお風呂、洗濯などで使った水を、処理場まで運び、きれいな水に変えて川に返す。

こうした上下水道事業にかかる費用は、皆さんからいただいている水道料金・下水道使用料でまかなっており、税金ではありません。
そのため、上下水道事業の運営を継続していくには、水道料金・下水道使用料による収入の確保が必要不可欠です。

しかし、豊中市の水道料金・下水道使用料による収入は年々減少しています。
平成30年度(2018年度)と比較すると、令和9年度(2027年度)には、水道料金による収入は約4億1,300万円減少、下水道使用料による収入は約1億6,200万円減少する見込みです。

背景には、節水機器の普及や節水意識の高まりなどのライフスタイルの変化による、水道水の需要の低下があります。
(なお、市内に降った雨を集めて川へ流す費用は、税金でまかなっています)

増加する工事費用

収入が減少する一方で、支出は増加しています。
特に大きいものは工事費用で、平成30年度(2018年度)と比較すると、令和9年度(2027年度)には、水道に関する工事費用は約18億7,600万円増加し、下水道に関する工事費用も約20億9,200万円増加する見込みです。

増加の原因としては、近年の物価高騰による影響で、資材価格が高くなっていることがもちろんあるのですが、それ以上に大きな理由が二点あります。
 
第一に、上下水道施設の老朽化が進んでいることです。
令和9年度 (2027年度)までに、水道管は全体の41%にあたる341km、下水道管は全体の48%にあたる509kmが法定耐用年数(*)を超える見込みです。
高度経済成長期を中心に、公衆衛生の向上や生活環境を改善するため、急速に上下水道施設の整備を進めました。そのため、施設更新の時期を一斉に迎えているのです。

* 法定耐用年数
施設や設備などを使用できる法定上の見積期間のことで、水道管は40年、下水道管は50年とされています。

この更新工事を疎かにしてしまうと、施設が弱体化し、水道管からの漏水事故や、下水道管の老朽化による道路陥没などのリスクが高まってしまいます。

水道管からの漏水により冠水した道路
下水道管の老朽化による道路陥没

更新工事を着実に進めていくことは、安全・安心に水道・下水道を利用できる環境を守ることに繋がります。
 
第二に、自然災害リスクが高まっていることです。
令和6年(2024年)1月1日に発生した能登半島地震では、大規模な断水が発生し、その復旧までには長い期間を要しました。
1月3日、豊中市上下水道局からは、給水タンク車による応急給水の支援活動を行うため、職員4人が被災地に出発しました。
そこから約4か月間、総数76人の職員が支援活動に携わりました。日ごろの業務や訓練を生かして、給水タンク車で水を届ける応急給水活動や、あちこちで漏水している水道管の復旧活動に携わる中で、被害の甚大さを目の当たりにしました。

地震で破損した水道管
液状化で浮きあがったマンホール

水道・下水道が被害を受けると、日常生活や社会活動にどれほどの影響を及ぼすのか。
災害に強い上下水道施設を構築することがいかに重要なのか。
支援・復旧活動を通じて、改めて実感しました。

収入確保への取組み

収入の減少に加え、支出が年々増加する中、上下水道局としても、水道料金・下水道使用料以外の収入の確保や費用の削減に取り組んできました。
その取組み事例をいくつかご紹介します。

①配水場の共同化

令和2年(2020年)に、豊中市の柿ノ木配水場を、隣接する吹田市と共同で利用する覚書を締結しました。令和4年より、吹田市への配水を開始し、毎年約700~800万円程度の負担金収入を得ることが可能になりました。

②再生可能エネルギーの活用

新田配水場などの敷地の一部を太陽光発電事業の用地として民間事業者に有償で貸し出したり、浄水池から配水池への水の自然落差を利用して発電する小水力発電を導入したりすることで、令和5年度(2023年度)には約370万円の収入がありました。

③下水処理水の有効利用

下水処理水を熱源としたヒートポンプ方式の空調設備を採用することで電気使用量を削減したり、高度処理した下水処理水を処理場内のトイレ用水や機器冷却水に再利用したりしています。 

この他にもライフサイクルコスト(*)に基づく更新・長寿命化対策や不用品の売却等、様々な取組みを行っており、今後も経営努力を続けていきます。

*ライフルサイクルコスト
施設における建設の初期費用と、その後の維持管理費用などを含めた生涯費用の総計のこと。ライフサイクルコストを算定することで、より費用対効果の高い手法を採用できます。

災害に強い水道・下水道をつくる

値上げによって増加した収入は、安全・安心な水道・下水道を構築し、将来にわたって安定的に皆さまに利用していただくために使用します。

まず、水道事業では、大規模地震などの自然災害リスクに対する備えとして、耐震管の敷設を進めていきます。
耐震管とは地震の揺れに強く、地盤の変形に柔軟に対応する構造を持った水道管のことです。

豊中市では、令和9年度(2027年度)までには水道管路の耐震適合率(*)を40.3%まで引き上げることを目標としています。

*耐震適合率
管路延長のうち、地震時でも接合部が離脱しにくい管路延長の割合。接合部の離脱性能は、管路の種類や地盤の条件(軟弱地盤、液状化しやすい埋設地)などを考慮して評価されます。

下水道事業では、計画的に点検・調査や更新・更生を行うことで、施設の破損を予防するとともに、主要な路線では伸び縮みする継手を下水道管とマンホールのつなぎ目に採用するなど、耐震機能の確保を進めていきます。

健康の維持、うるおいと憩い、快適な暮らし、持続可能な産業経済活動。
そこにはいつも「水」があります。
豊中市上下水道局では、生活や社会活動の基盤となる水道・下水道サービスを、これからも安全安心・安定的に届けていきます。

令和6年(2024年)12月6日から、「水道料金・下水道使用料の値上げ」について、市民説明会を6回開催します。直接質問をお受けする時間も設けていますので、皆さまのご参加をお待ちしています。

説明会当日にご都合がつかない方は、後日、上記ホームページに説明動画を配信しますので、そちらをご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、水道料金・下水道使用料の値上げ改定について、お伝えさせていただきました。ご理解いただきますようお願いいたします。