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千里ニュータウンをつなぐエコな車 『モビとよ』が行く。

こんにちは。
みなさんは普段、近所へのお出かけの際に、手軽に乗れる電動の乗り物があったら便利だなと思いませんか?
こうしたニーズに応える新しい交通手段として「グリーンスローモビリティ」が全国各地で広まっています。

「グリーンスローモビリティ」(以下「グリスロ」)とは電動で時速20km未満で公道を走る移動サービスで、その車両も含めた総称です。

Green・・・・環境にやさしくエコ
Slow  ・・・・ゆっくりとしたスピードで景色を満喫 
Safety   ・・・安全性が高い
Small・・・・小型でかわいい
Open ・・・・開放的で楽しい

という特徴があります。


実は豊中市でも2023年10月から走っているんです。今回はそんな豊中市のグリスロを紹介します。

1.なぜ千里ニュータウンに?


グリスロは現在、市の北東部千里ニュータウンに位置する新千里北町と新千里東町を走っています。
なぜ、この地域を走ることになったのか。それは、この地域の成り立ちに由来する住民の皆さん特有の悩みが背景にありました。

千里ニュータウンは豊中市と吹田市にまたがる千里丘陵に、日本で初めての大規模なニュータウンとして、道路、鉄道、公園、学校、商店などが集まる近隣センター等を総合的・計画的に配置し建設されたまちです。

豊中市域では昭和41年(1966年)から入居が始まり、20代から30代の若い核家族が入居し、多くの住民は、環境が整備され、利便性も良い「千里の魅力」を気に入って、住み続けることを選びました。
新たに住宅が供給されることもほとんどなく、その結果、特定の世代だけが集中する「住民世代の偏り」が起こり、1990年代頃から高齢化が急激に進みました。同時に建物や設備のインフラの老朽化も進んだため「オールドタウン」とも呼ばれるようになりました。また、人々の生活スタイルが変化し多くの人が車で地域外の商業施設に買い物に行くようになると、身近な買い物の場である近隣センターでは核となる店舗の撤退や空き店舗の増加など、空洞化が進みました。

そのようなことから、近くに買い物をする場所がなくなると、車を持たない人は徒歩や自転車で遠くまで出かけなければなりません。丘陵地帯に開発された住宅地のため坂が多いという地理的要因も重なり、千里ニュータウンでは、高齢者を中心に外出するのが難しくなってしまうという問題を抱えることになりました。

2.みんなで地域課題を解決!

そこで、『高齢者や子育て世代を中心とした外出意欲の向上』『近隣センターのにぎわい』など地域課題を解決するために、2023年7月に「千里ニュータウンをつなぐグリスロを活用した地域課題解決ワークショップ@新千里北町・新千里東町」を実施しました。


このワークショップでは老若男女問わず千里ニュータウンに関わるたくさんの人に参加いただき、千里ニュータウンの良いところや課題を互いに共有し、それを解決するアイデアを話し合いました。

ワークショップを通してグリスロに期待する声もたくさん上がりました。
・地域の人の足やイベントなどに使えたらいいな。
・地域を広げても良さそうですね。
・治安の向上と交流のためにあったらいいな。ぜひ利用してみたいです。

そして、どこを走行するか、ワークショップの中で意見を出し合い、近隣センターや公園などを巡るルートを決定しました。

また、地域の皆さんに親しまれるよう、愛称を募集し千里ニュータウン内の小学生をはじめ、さまざまな人からの応募があり、投票の結果『モビとよ』に決定しました。

モビとよは誰でも乗ることができます。雨の日も走っているのでご利用ください。
走行ルート上であれば、停留所でなくても途中乗車・下車もできますので乗りたい時は手を挙げて合図してくださいね。

そんなモビとよの停留所や現在走っている位置は下記からご覧いただけます↓

モビとよは運行時間外、千里中央公園の駐車場のそばにあるLABOに駐車しています。
見学や写真撮影も大歓迎ですので、一度足を運んでみてください。
お休みの日には子どもが楽しそうに見ていることも多いんです。

3.実際に乗ってみた

モビとよに乗って千里ニュータウンを周ってきました。その様子を写真と一緒にご紹介します。


千里中央公園内LABOに駐車されているモビとよ

まず、出発は千里中央公園から。止まっている姿はコンパクトで可愛いです。


乗車定員は運転手を除いて3人。後部座席でもモビとよの開放感を感じることができ、車高が低く乗り降りもしやすくなっています。まちの景色を楽しみながらゆっくりと進みます。
途中すれ違った子どもたちが保護者に「あれ見て!すごい」と話しかける場面にも遭遇しました。
時間があれば運転手さんがモビとよの説明をしてくれます。

車体は小さいですが急な坂道もスムーズにかけのぼります。

途中近隣センターなどのまちの施設も通ります。

最後はスタート地点の千里中央公園に戻ってきました。運行が終わった後は車両に異常がないか安全確認をします。

4.モビとよに関わる人たち

①ボランティアのみなさん


モビとよの運転や運営は現在6名のボランティアのご協力によって成り立っています。
今回は運転ボランティアの藤岡さんにお話を伺いました。


なぜモビとよに関わってみようと思われたんですか?

令和3年度のテストランの際に、住んでいるマンションのシニアクラブの方が「こんなのがあるよ」と教えてくれて、まず面白そうだと思いました。
自分の周りでもやはり75歳以上の高齢の方が多くて、特に坂道がしんどいと言う方も多いです。ならば、このモビとよなら高齢の方にも使ってもらえるのではないかなと思い参加しました。

ボランティアをしている中で感じることはありますか?

やはり知ってもらうことの難しさです。モビとよの見かけた方は存在を知っていても自分が乗れるものだと思われていないこともあります。誰でも気軽に乗れるということをたくさんの方に知ってもらいたいですね。
また、高齢者でも乗車を遠慮される方が多く、なかなか活用してもらえないなと感じることもあります。健康のために歩くと仰られる時もありますのでお声がけをしてみて、必要であれば乗っていただくようにしています。
運転手についても実際に運転をしてみて初めて分かることもありますし、たくさんの方が関わっていただけると嬉しいので、体験会・試乗会などがあれば良いなと思います。

豊中市や千里ニュータウンがどうなっていったら良いと思われますか?

例えば私のように、みんなが好きなことを生かしてモビとよや地域に関わっていけるようになるともっと良いまちになっていくと思います。
それに新千里北町や東町はお店や施設が少ないので、人の交流の場や出かけられるところが増えていくと良いですね。
運転手としても折角なら市の千里ニュータウン全体を走ってみたいなと思うので、走る範囲が広くなると嬉しいです。そして、もっとモビとよの台数が増えてほしいです。

②豊中市職員

モビとよを担当する都市整備課の職員に今後の思いを語ってもらいました

今回お話を伺った市のモビとよ担当者

モビとよの小回りが利いて開放的といった特性を生かすことで、アップダウンの多い新千里北町・東町での外出意欲の向上を期待しています。
しかし、モビとよに求める役割はそれだけではありません。運転サポーターと利用者の交流など、地域の活性化や多世代交流を増やすこともめざしています。さらに、近隣センターでの協力企業による交通安全教室などのさまざまな人が参加できるイベントを実施し、それに参加するためにモビとよを利用してもらえる取り組みも進めています。
また、ありがたいことに「新千里北町・東町以外は通らないの?」や「私の住むところでも走ってくれたら良いのに」などのお言葉をいただくこともあります。モビとよを広げていくためにも、運転サポーター以外にも動画やチラシ作成のサポーター募集を行い、モビとよの認知度を上げ、より多くの方に関わっていただき、市民に愛される乗り物にしていきたいと思います。


モビとよを動画で紹介しています。走っている様子もご覧いただけます。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

私自身はあまり千里ニュータウンに行く機会がなかったため、今回千里ニュータウンを訪れ違う視点で見てみると、思っていた以上に坂道が多く起伏に富んでいるということに改めて気付かされました。
年齢を重ねても誰もが住みやすいまちであり続けるために、モビとよの果たす役割は大きいと思います。

実際に乗車してみると、とても開放的で千里ニュータウンの街並みを体いっぱいに感じることができます。公園や住宅街など普段はなかなか訪れない場所も通るので新しい発見もありました。
私は趣味で写真を撮るので、街並みを見ながらここで写真を撮るなら…と想像してとても楽しかったです。

これからも豊中市の魅力や取り組みをみなさまにお届けしていきます。


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