小学校給食を作るまでの長~い道のりと豊中市のこだわり
こんにちは!
豊中市の小学生が食べている給食は、全て栄養バランスや季節の行事、旬の食材などを考えて献立が作られています。
献立はいつからどうやって作られているのでしょうか?
調理の様子はテレビなどで見かけることがあるかもしれません。
今回は、あまり知られていない献立作りや食材の調達についてご紹介します。併せて、豊中市のこだわりをお伝えします。
豊中市の小学校給食の歴史
戦後間もない頃の食糧難だった時期に豊中市の小学校給食は始まりました。その後、今日に至るまで時代とともに変化していきました。
10年ほど前までの給食は、おかずが2品、
月曜・火曜・木曜日がパン、水曜・金曜日が米飯でした。
現在の給食は、おかずが3品、
月曜・水曜・金曜日が米飯、火曜・木曜日がパンとなっています。
現在、豊中市の小学校給食は、走井学校給食センター、原田南学校給食センター、単独調理校3校で作られています。
平成27年(2015年)に新設の走井学校給食センターが稼働した際に給食をもっと良くしたい、和食をしっかりと食べてほしいという思いから、おかずを1品増やし、米飯の提供日を増やしました。
熱い料理でも食器を持って食べられるように食器もアルマイト製(アルミニウムを加工したもの)から耐熱性樹脂製に変えました。
献立は7カ月前から準備が始まっている
給食センターでは、調理を担う調理員、栄養に関する専門知識を持つ栄養士、食育を中心とした教育や指導を行う栄養教諭など、さまざまな職員が働いています。
今回は、走井学校給食センターの職員に献立作りと食材の調達についてインタビューしました!
(以下、浅野さんを【浅】、重綱さんを【重】と表記します。)
ーー何人で給食の献立を作っていますか?
【浅】献立は、栄養教諭と栄養士の9人で作成しており、1人が1カ月分を担当します。できるだけ前後の月で同じ献立にならないように調整しています。
ーー9人でローテーションしているということは、例えば1月に献立作成を担当した人が、次は10月の担当になるという感じでしょうか。
【重】多少変わったりもしますが、大体そのような感じです。献立はかなり早い時期から考えているので、どの月が自分の担当だったか忘れてしまいそうになります(笑)
ーー例えば、1学期(4月から7月まで)の献立ではどのようなスケジュールで作成を進めているのでしょうか?
【重】1学期が始まる7カ月前ごろ(前年の9月ごろ)までに1学期すべての給食の献立案を作成しています。
ーーそんなに前から考えているんですね。
【重】はい。その献立案を2つのセンターと単独調理校のすべての栄養教諭や栄養士、調理員で確認します。
ーー栄養教諭や栄養士だけでなく、調理員にも確認するのですか?
【浅】例えば、栄養教諭や栄養士からは1日に必要な栄養量など栄養面の意見をもらいますが、調理員からは「ジャガイモは芽を取る作業を手作業で行うため時間がかかる。このおかずとの組み合わせは避けてほしい。」といった調理の時間や作業など調理の面の意見を聞き取るためです。
ーーなるほど。1学期の献立は最終的にどうやって確定するのでしょうか。
【重】出された意見を反映した献立案を1学期が始まる3カ月前(1月ごろ)に開催する献立作成委員会で議論し、確定します。
ーー献立作成委員会はどんなことをしているのですか?
【浅】献立作成委員会は、学期ごとに年3回行っています。
各学校の給食担当職員が参加し、原案を作成した栄養教諭・栄養士が献立に取り入れた想いや旬の食材について説明します。
こうして、1学期分の献立は献立案ができてから、4カ月間以上かけてようやく確定します。
ーー献立ができたら、次は食材の調達ですか?
【浅】はい。調達する食材は物資選定会議で決めています。米飯や缶詰、レトルト食品、中濃ソース、油など年間を通じて調達する食材(年間物資という。)を決めるための会議を年1回、肉や魚、七夕ゼリーといった季節ごとのデザートなど、学期ごとの献立に使用する食材(月間物資という。)を決めるための会議を年3回行っています。
ーー物資選定会議ではどのようなことをしていますか。
【浅】物資選定会議とは、安心・安全な食材を給食に使用するために給食食材を選ぶ会議です。
事前に食材の規格・納入条件や使用日、使用量の一覧を給食食材取扱事業者に送り、見積書とサンプルの提出を依頼します。
会議当日、サンプルなどが依頼した内容に合っているか、実際に調理し、味や見栄え、作業面で問題がないかなどを確認し、試食したうえで決定します。
ーー毎回どのくらいの試食をするのですか。
【浅】100種類くらい試食しています。
ーー100種類はかなり多いですね。
【重】午前中に調理したものを、午後から2時間半ほどかけて食べ、一つ一つ選定していきます。終わったころにはお腹がいっぱいになってしまいます。
ーー何か印象に残っているエピソードはありますか。
【重】物資選定会議で芋餅(いももち)を調理していたら、急にはじけて天井まで飛び散ってびっくりしたことがありました。
選定時に調理をしていなかったら、いざ給食を調理するとなったときに大量の芋餅がはじけていたのかと思うと、ゾッとするとともに、事前の準備の大切さを改めて感じました。
ーー給食の裏側を知ることができ、大変勉強になりました。ありがとうございました。
豊中市ならではの特別メニュー 人気のカレーはルゥから手作り
毎年、1月24日から30日までの1週間が「全国学校給食週間」と定められています。これに合わせ、豊中市では担当の栄養教諭や栄養士が創意工夫を凝らし、全国の郷土料理やオリンピック開催などの話題に合わせた外国の料理も提供しています。
また、6月には、沖縄料理(沖縄そばやゴーヤを使った料理など)を提供しています。これは、本市の兄弟都市である沖縄市において、6月23日の「慰霊の日」という特別な日を迎えることに合わせたものです。
子どもたちが大好きなカレーは、市販のルゥを使うのではなく、給食センターでルゥを手作りしています。また、アレルギーのある児童に配慮して米粉カレーを提供することもあります。
パンの大きさは、1・2年生、3・4年生、5・6年生で栄養価を考慮して大きさが違います。
ブドウやイチゴなど直接口に入れる果物は電解水で消毒し、ミカンなどの皮付きの果物もきれいに洗って提供しています。
ブドウは配りやすいように、調理員が手作業で2~3粒ずつ房から切るなど工夫しています。
ニンジンを使った料理には、星やハートなどの形に切り抜いた「ラッキーにんじん」が入っていることもあります!
6年生の卒業(義務教育学校では修了)間際の給食には、豊中市のキャラクター「マチカネくん」の形をしたニンジンが入っていることも!
給食の時間に突撃!
子どもたちの給食時の様子や感想を見聞するため、市立箕輪小学校の6年生の教室にお邪魔しました。
取材をしに来た私に子どもたちがたくさん声をかけてくれました。カメラを気にしながらも給食の準備を進めていました。
エレベーターがある学校では、先生が給食と食器一式を配膳室から持ってきてくれます。
食器への盛り付けは子どもたちで行います。
子どもたちは「いただきます!」と元気よくあいさつした後、
「今日はカメラを気にしてめっちゃ静か」
「いつもはもっとうるさくて先生に注意されてるよ」
「給食おいしい」
「今日の魚は苦手だけどしっかり食べた」
と笑顔で話しかけてくれました。
卒業間近の6年生は、小学校での給食も残すところわずか。みんな少し寂しそうでした。
3人の子どもたちが、残ったおかず2つをおかわりするため、1つを半分に分けていたのが微笑ましかったです。
箕輪小学校では、好きな給食は1位カレー、2位ポテト、3位ゼリーだそうです。
給食をもっと知ってほしい
保護者の方にも給食を知ってもらうため2つの取り組みを行っています。
Instagramで献立を発信中
「【公式】豊中市学校給食課」で、小学校給食はもちろん、昨年度から始まった中学校給食の献立や実際の写真も日々発信しています。
https://www.instagram.com/toyonaka_kyushoku/
学校給食センター施設見学
学校給食センターでは、調理している様子の見学や学校給食の試食(1食245円がかかります)を行っています。
原則、平日の給食実施日での見学・試食、8人以上40人以内(試食は30人まで)での申し込みとなります。
対象者や申し込みは市HPをご覧ください。
令和6年度(2024年度)の給食は、4月10日(水曜)から始まります。
1年生は4月23日(火曜)から始まります。
どんな給食が出てくるか、お楽しみに!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
私自身も市立小学校に通っていて、今でも給食のことを覚えています。
毎日ランドセルの横にお箸やランチョンマットを入れた給食袋を引っかけて登校していました。給食当番の時はエプロンもあったため重たかったです。
こんだてカレンダーには、全ての日の給食に込められた思いや注意事項などがびっしりと書かれていることを今回取材するなかで初めて知りました。
ぜひ、お子さんや身近な人と給食について話し合ってみてください。いろんな発見ができると思います!
新1年生もこれから友達とわいわい楽しく、おいしく給食を食べて、元気に育ってほしいなと思いました。