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潜入!森の中の再生工場

こんにちは!
梅雨も明け、夏本番ですね。
今回は、私たちが日々暮らす中で欠かせない施設の一つ、ごみ処理施設“クリーンランド”についてご紹介します。

クリーンランドの外観

森の中の再生工場として

クリーンランド(正式名称:豊中市伊丹市クリーンランド)は、北に大阪国際空港、南に猪名川が隣接する、豊中市と伊丹市の境界線上にある「ごみ処理施設」です。豊中市と伊丹市が共同で運営しています。
平成28年(2016年)、環境に配慮された現在の新焼却施設に建て替わりました。

クリーンランドで働く職員からお話を聞くと・・・
以前の施設は、一見、煙突から煙がモクモクと出ているように見え(実際は白煙の水蒸気)周辺環境のイメージが悪く、建て替えにあたっては、周辺環境をいかに改善するかが大きな課題だったそうです。
そこでまずは、煙突は建物内に格納するなど、ごみ焼却施設とわからないような工夫をし、さらに建物には緑を増やし、森のイメージを施設に持たせながら温かみのある外観とすることとしました。

新たな施設は“森の中の再生工場”をコンセプトとし、外観は壁面の緑が印象的です。毎月の手入れをはじめ、日常的に気付くところは職員も手入れを行っています。この壁面の緑は、秋から冬にかけて枯れ、また春から夏にかけて葉が茂るので森の様子を四季で感じることができます。
手入れは大変ですが、ベランダや屋上など空間があれば緑を植えるようにしているのだそう(ちょっとやりすぎ?笑)。たくさんの緑が、来場された市民の皆さんをホッとさせてくれます。
同施設は、立地環境を活かし、緑化に積極的に取り組む姿勢が高く評価され「令和3年度 第15回おおさか優良緑化賞」で、「大阪府知事賞」と「生物多様性賞」を受賞しました。

計量棟屋上の緑

敷地内に、豊中市と伊丹市の境界線があり、現在の焼却施設は豊中市側にあります(建て替え前は伊丹市側にありました)。焼却施設は、敷地内で豊中市側・伊丹市側を交互に建て替えています。施設を訪れた際には、どこが境界なのか探すのも面白いかもしれませんね。

それでは少し施設の歴史をさかのぼってみましょう。

初代の焼却場(豊中市側にありました)

昭和30年代、全国的な生活水準の向上や社会情勢の変化により、環境衛生に対する関心が高まるなか、豊中市においても旧来のごみの埋め立て処理から、衛生的に処理する方法について検討を始めました。そして、昭和37年(1962年)豊中市と伊丹市両市の地元住民の理解と協力を得て、両市の境界にごみ焼却場が竣工しました。

2代目のごみ焼却施設(伊丹市側に建設されました)

昭和50年(1975年)には施設を建て替え、焼却炉を更新。その後、40年を超える長期間の運転により老朽化が著しく進んだことから、平成28年(2016年)に現在の新焼却施設を建設しました。旧施設を解体した跡地には、令和2年(2020年)に健康遊具などを配置したクリーンランドひろばをオープンし、市民の憩いの場となっています。

クリーンランド広場(2代目跡地)

新施設のコンセプト“森の中の再生工場”の、再生工場とは・・・?
廃棄物をエネルギーに変えリサイクルする、という意味です。では、実際に再生工場に入ってみましょう!

裏側にも潜入?!施設見学ツアー

クリーンランドは、事前に申し込みをすれば誰でも施設見学をすることができます。(意外と知らない人も多いのではないでしょうか。)
小学4年生の社会科授業では「ごみ学習」のカリキュラムがあり、毎年多くの小学生が施設見学に来ます。また、中学生の職場体験学習も受け入れていますので、子どもたちには馴染みのある場所かもしれません。

クリーンランドは、可燃ごみの焼却施設と、不燃ごみなどを処理するリサイクルプラザ(豊中伊丹スリーR・センター)に分かれています。見学ツアーは、NPO法人 豊中・伊丹環境政策フォーラムの職員が、施設内をとても分かりやすく案内してくれます。
では、10階建の可燃ごみを焼却する施設から見学スタートです!
エレベーターがあるので、ベビーカーや車椅子でも安心して各階の移動ができます。

可燃ごみを運び込むごみ収集車は、まず計量棟でごみを計量し、プラットフォーム(ごみをごみピットに投入する場所)に入ってきます。見学ツアーでは、このプラットフォームを上から見ることができます。職員によって的確に収集車がピットに誘導される姿は、まさに連携プレイです。ピットのシャッターは、ごみが投入される時にだけ開閉します。
作業エリアは、エアーカーテンや二重扉を設置するなどの工夫を凝らし、常時、安全とクリーンを保つために徹底した管理を行っています。

豊中市と伊丹市から1日に運び込まれる可燃ごみは、約450トン。ごみピットには約4,000トンのごみが貯蓄でき、貯蓄されたごみは、ごみクレーンで均質に攪拌された後、焼却炉の投入口に投入され焼却装置内を移動しながら約900℃の高温で完全に燃やされ、焼却灰になります。こうした処理過程を中央制御室で職員が24時間体制で監視しています。

ごみ焼却の流れを順に学んでいくと、最上階10階の展望フロアに到着します。ここは隠れている焼却炉の煙突に一番近い場所です。直接見ることは出来ませんが、壁の向こう側に存在を感じることも?
このフロアの窓からは大阪国際空港の滑走路が目の前に広がっています。飛行機ファンにはたまらない光景です。

展望フロアからの景色

この展望フロア、絶景は空港だけではないんです!
10階のスケルトンガラスから望む地上1階。足元に広がる高さ約40mの世界です。ちょっとユニークな仕掛けがあるので、ぜひ体感してみてください。きっとsmileになるはずです☺

10階のスケルトンガラスから望む地上☺

毎月1回第3日曜日に「展望フロア一般開放デー」を開催しています。夏休み期間は、施設見学に加えてごみ収集車へのごみ投入体験や乗車体験なども実施していますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

リサイクルプラザ(愛称:豊中伊丹スリーR・センター)

次はお隣の施設、リサイクルプラザ(愛称:豊中伊丹スリーR・センター)に潜入です!施設は渡り廊下で繋がっているので移動もスムーズです。
こちらの施設では、可燃ごみ以外のごみ(不燃ごみ、粗大ごみ、プラスチック製容器包装、ペットボトル、びん類、缶類、小型家電製品・電池類、剪定枝)の選別や圧縮、梱包などの中間処理を行い、リサイクル可能な資源化物としてリサイクル工場に搬出します。

特別に中央制御室に入らせてもらいました。(通常は見学できません)
中央制御室では、様々な装置を遠隔でコントロール操作しています。不燃ごみをプラットフォームからごみピットに運び、ピット内のごみを攪拌させる大きなクレーンの迫力に圧倒されます。もちろん通常の見学ルートでも少し離れた位置から見ることができます。

中央制御室から見るピット内

びん、ペットボトル、プラスチック製容器包装などは人の手で選別します。実際に作業する様子を見学すると、とても大変な作業だと感じました。
一つひとつのごみ袋を自動で裁断する機械が導入されていますが、ごみ袋が二重包装されていると中の袋まで裁断できない場合もあるそうです。
安全に処理作業するためにも、そして出したごみがリサイクルされるためにも、市民一人ひとりのごみの出し方がとても大切だと改めて思いました。

愛称である「豊中伊丹スリーR・センター」のスリーR(3R)は、リデュース(ごみの発生を抑制する)・リユース(ごみを再使用)・リサイクル(ごみの再資源化)の取り組みを表しています。
最近では、あらゆるところでリサイクル素材を見かけるようになりました。見学ツアーでは、ごみを減らす「リデュース」の啓発活動としてマイバックをお渡しています。地球環境を守るためにも日常的に3Rを実践することが大切ですね。

施設見学でもらえるマイバック

あとがき

クリーンランドには、昭和50年に植樹されたシンボルツリー(フェニックス)があります。当時、約3メートルだったシンボルツリーは現在15メートルまで成長し、施設の建て替えの際は、シンボルツリーだけは動かさず保全されています。
時代とともに建物は生まれ変わっても、このシンボルツリーだけは変わらずクリーンランドをずっと見守ってくれています。
きっと未来のクリーンランドでも。

シンボルツリー(フェニックス)

最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回どんなお話でしょうか。お楽しみ。
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