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読みやすい・見やすい「広報とよなか」をめざして

 「広報とよなかの”とよなか”はなぜ平仮名なのですか?いつから平仮名なのですか?」
先日、広報戦略課あてにこのような問い合わせメールが届きました。
詳細を知っている職員はおらず、広報戦略課で保管している過去の広報誌を探ってみました。結果として詳細な理由までは分かりませんでしたが、昭和36(1961)年1月から平仮名を使い始めたということは分かりました。
今回、過去の広報誌をたどる中で、誌面を制作していた当時の職員のあとがきなどから、広報担当者が試行錯誤を繰り返し制作にあたっていた姿を思い浮かべ、今の自分達と重なりました。
広報とよなかは令和6年8月号で発行から892号目を迎えますが、読みやすい・見やすい誌面にするため、文章の書き方やレイアウトの組み方などを担当者が検討し、少しずつ改良を重ねています。
今回は、これまで担当者が努力を積み重ねてきた結果である現在の広報とよなかを紹介します。


誌面全体のコンセプト

誌面全体に共通するのは、①ユニバーサルデザインの重視、②見やすさ・読みやすさの追求、③マークを活用した視覚誘導です。

①ユニバーサルデザインの重視
ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは、「普遍的な」という意味を持つ "ユニバーサル" が示しているように、身体能力の違いや年齢、性別、国籍に関わらず、すべての人が利用しやすいようにつくられたデザインです。頭文字をとって、「UD」と表現されることもあります。
広報誌は市内世帯に全戸配布しており、子どもから高齢者まで幅広い年齢層が読者になります。そのため、誰でも読みやすいように、作成にあたってはユニバーサルデザインを意識しています。

②見やすさ・読みやすさの追求
写真と文章のバランス、色の統一感、読むときの視線の動きなど、読みやすさを念頭に置いて、誌面のレイアウトを考えています。また、誰が読んでも分かりやすい表現や文章になるよう、複数名の職員で文章を繰り返し読んで校正を重ねています。

③マークを活用した視覚誘導
市民生活に広く影響がある記事や市が特に力を入れている取り組みには、記事タイトルの上にマークを付けることで読者にアピールしています。また、マークに目次機能を持たせることで、読者が目当ての記事を探しやすいようにしています。

ここからは、実際に令和6年8月号を見ながら、上記の特長を紹介します。


表紙

◆表紙イラストで市内の名所や景色をアピール
広報とよなかの表紙イラストは数年ごとにコンセプトを変更しています。現在は、豊中の名所や四季折々の景色を読者に楽しんでもらうため、とよなか百景をイラスト化し解説付きで紹介しています。

◆見出し・目次機能の充実
特集、ToyonakaNews、裏表紙の記事の中でも、特に市民の生活と関わりが深い内容でより多くの人に読んでいただきたい記事をピックアップし、見出しとして大きく掲載しています。
左の帯のエリアでは、お知らせ記事のカテゴリごとのページ番号を掲載するとともに、各カテゴリで特に注目してもらいたい記事をピックアップして掲載しています。あわせて、お知らせページ内の記事タイトル上にナビゲーションマークを付け、開いたらすぐに注目記事がどこにあるか分かるようにしています。

表紙を見れば、当月号に収録されている主な記事が分かるように、また、読者が目当ての記事にたどり着きやすいように工夫をしています。


特集・ToyonakaNews

市の新たな取り組みや、市政の節目となる事業、市にゆかりがあり日本や世界規模の大会などで顕著な活躍をした人・団体を紹介するコーナーです。
ToyonakaNewsは、タイトルと本文を明確に分けるとともに、写真や画像を用いて見やすく分かりやすいレイアウトにしています。特集ページは、市民や事業者のインタビューなどを交えて市の施策を具体的に紹介することで、市民の皆さんに、市の取り組みを身近なものに感じていただけるようにしています。

◆フォント(書体)はUDフォントを使用
UDフォントとは、ユニバーサルデザインのコンセプトに基づいて作成された、誰にとっても読みやすく、分かりやすいフォント(書体)のことです。お知らせページや裏表紙も含めて、本文には原則UDフォントを使用しています。

UDフォントは、「はね」や「はらい」などの画線が無く、文字の形が分かりやすいシンプルなデザインになっています。また、文字がつながって見えたり、他の文字と混同したりしにくいように「あき」が広くなっています。

◆横書き・縦書きをできるだけ統一
同一ページ内の縦書き・横書きを統一することで、目線が泳がず、記事全体を流れるように読み進めることができます。また、レイアウトにも統一感が出て、記事がまとまって見えます。


お知らせ

◆文字を大きく
広報誌の読者には高齢者も多く、読みやすさを重視して文字等級を15.5等級と大きくしています(近隣の11自治体の広報誌を調べたところ、お知らせページも含めて15.5等級の文字を採用している自治体は5つで、他の自治体はいずれも小さい等級の文字を使用していました)。令和4年4月号から現在の文字等級の大きさにしましたが、広報誌に関するアンケートでは「読みやすくなった」との声をいただいています。

◆色覚への配慮
P型色覚(赤い光を受け取りづらい)やD型色覚(緑の光を受け取りづらい)の人に配慮し、色彩のみに頼る強調表現を避けています。文字の大きさに差をつける、文字を太字にする、下線を引くなどにより、強調部分を色以外の方法で表現しています。

◆お知らせページも含めて全頁フルカラー
カラーには、モノクロと比べて、視線を引き付けて注目度を高める効果や記憶を持続させる効果があります。令和4年4月号からお知らせページもカラー化しましたが、レイアウトを考慮しつつ、地図や写真をできるだけ多く掲載するようにしています。こちらについても、市民アンケートで「見やすくなった」「親しみやすくなった」との声をいただいています。

◆ 外国人を対象とする記事にはルビを
漢字の理解が難しい人のために記事にルビを振っています。また、広報の記事の校正では、原則、一度出てきた課名や施設名は「課」「所」という形に省略する、市外局番の「06」は記載を省略するなどしていますが、外国人を対象とする記事では省略せず、全文を記載するようにしています。

◆注目記事にはマークを活用
未就学時に関わる制度や催しには「子どもマーク」
8月の平和月間に関連する催しには「ハトマーク」
表紙でカテゴリごとに注目記事としてピックアップした記事には「ナビゲーションマーク」
マチカネポイントを進呈する催しには「Pマーク」
豊中市・沖縄市兄弟都市提携50周年記念の催しには「ハイビスカスマーク」
を付けています。

これらは市として特に注目してもらいたいもので、広報誌だけではなく、市ホームページや市公式SNSでも情報をお伝えしています。


裏表紙

◆色やデザインでインパクトを
表紙に続き、広報誌の顔とも言えるページであり、読者の手元に届いた際に注目を引くデザイン、読んでもらえるデザインを意識しています。発行月に応じた”旬”を念頭に、今伝える必要がある内容を取り上げています。


このような工夫が評価され、「広報とよなか 令和5年10月号(Vol. 882)」が昨年度(令和5年度)の近畿市町村広報コンクールで応募数74団体中、第5位となる優秀賞を受賞しました。

コンクールでいただいた評価の一部は以下のとおりです。

【良い点】
・高齢者に配慮して文字を大きくした点が良い。
・表紙のお知らせカテゴリのタブ(左の帯部分)や見出し、お知らせ記事のマークの活用は、読者に記事を見てもらうための良い工夫。
・裏表紙に、市が力を入れる取り組みを取り上げているのは、市としての強い意志が感じられる。

【改善を検討すべき点】
・横書きで見開き2ページ構成の特集記事は、右ページから読むのか、左ページから読むのかを分かるレイアウトにしたほうがよい。
・お知らせコーナーは太字処理が多く目がちらつく。もう少し減らしたほうが良い。

上記のコンクールには本年度もエントリーします。
また、令和6年9月号から、市公式LINEで当月号の広報誌の記事に関するアンケートを実施する予定です。関心を持って読んでいただいた記事や、今後読みたい記事など、皆さんの声を聞かせてください。

さいごに

最後に、冒頭で紹介した過去の広報誌の変遷について少しだけ紹介します。

【創刊号(昭和26(1951)年12月20日発行)】
タイトルは「豊中市政だより」。漢字の”豊中”を使用しています。

【第101号(昭和35(1960)年4月15日発行)】
タイトルが「豊中市政だより」から「豊中市政ニュース」に変わりました。

【第110号(昭和36(1961)年1月5日発行)】
タイトルの”豊中”が”とよなか”になりました(平仮名を使うようになりました)。

【第137号(昭和38(1963)年4月号)】
タイトルが「広報とよなか」になりました。

【第457号(昭和63年(1988)5月号)】
タブロイド版だったものが、冊子版になりました。
以降「広報とよなか」というタイトルで毎月発行を重ね、令和6年8月号で892号目を迎えました。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後も広報戦略課は、より分かりやすく親しみを持って読んでいただける「広報とよなか」を作成していきます。
ぜひ、フォロー、スキをおねがいします。