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小1の壁をぶっ壊せ!~豊中市の7時校門開放の取組み~

みなさんこんにちは!
物騒なタイトルかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。この「小1の壁」という言葉は、最近テレビや新聞でも取り上げられているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
小1の壁というのは、子どもが小学校に入学するタイミングで、保護者がそれまでの生活スタイルを続けられなくなることによるギャップ(壁)のことです。
そのギャップ(壁)によって、仕事と子育ての両立が困難とならないよう、豊中市では、「子育てしやすさNO.1」を掲げて、小1の壁の解消に向けた取組みをスタートさせました。

今回はメディアでも取り上げられている、「午前7時からの校門開放」についてご紹介したいと思います。


学校の校門

なぜ午前7時からの校門開放が必要なのか?

小学校の始業は8時30分ですが、校門が何時から開くのか、みなさんご存じですか?
豊中市では、基本的に8時開門です。
一方、入学前まで通うこども園等は、午前7時から保育時間が始まります。この1時間の差が、子ども・保護者の生活に大きな影響を及ぼしています。
保護者の出勤時間などの都合から、やむなく子どもを残して先に家を出て、子どもが戸締り・登校するというご家庭や、開門時間よりも前に子どもを登校させざるを得ないご家庭もあります。
その結果、多くの小学校では、閉じられた校門の前で待っている児童の姿がありました。
学校によっては、子どもたちの安全のため、7時30分頃に校門を開けて敷地内には入れるようにしているところもありましたが、それぞれの学校だけで対応するには、自ずと限界がありました。
こうした背景から、豊中市では令和6年4月から、すべての市立小学校と義務教育学校で午前7時に校門開放することとしました。
もちろん、校門を開放するだけでは、児童の安全を守ることはできません。
7時からの校門開放を進めるにあたっての基本的な考え方。それは、子どもたちが天気に関係なく安全に過ごせるようにすることと、教員の負担を増やさないで実現するということです。
教員の勤務時間は8時30分からです。7時から登校時間まで、各校に民間の見守り員を2人配置することで見守り体制を整え、対応することとしました。
見守り員の確保など、課題はもちろんあります。
しかし、まずは目の前の課題を乗り越えること。現実に校門の前で開門を待っている子どもたちの安全を守るため、まずは学校の敷地内で子どもたちが過ごせるよう、4月8日の始業式から7時開門を開始しました。

保護者の声

利用希望者には、事前に登録いただく仕組みとしています。これは、本事業の実施主体が学校ではなく教育委員会であり、子どもの人数や保護者の連絡先等を把握する必要があるためです。
登録人数は、小学校全39校(義務教育学校を含む)で、606人の申し込みがありました(4月11日時点)。

実際に利用している子どもたちはどのように過ごしているのか、また保護者はどのように思っているのかを聞いてきました。当日はあいにくの雨模様でしたが、7時の開門から30分ほどの間に5人の児童が保護者と一緒に登校しました。8時までの間、この学校では体育館で過ごします。

登校風景

保護者からお聞きしたご意見をいくつかご紹介します。

家では、子どもが小学一年生になったら仕事をやめないといけないかもしれないという話もしていました。見守り員の方がいてくれるので、安心して預けることができます。

リモートワークもできるし、会社も配慮はしてくれるが、その都度、会社に連絡して対応してもらう必要がある。余計なストレスがなくなるのでありがたい。

登校時間に合わせて時短勤務に変更しなくても済むので、これまで通りの生活スタイルを継続できることはありがたいです。

学校の先生に負担がいってほしくないと思っていましたが、市が見守り員を配置してくれることで、安心できます。

子どもがどう感じるか不安はありましたが、見守り員の方にスッと入っていけているのでよかったです。

子どもを一人残して仕事にいくのは不安でしたし、ちゃんと鍵を閉めてくれたのかどうかも心配でした。鍵を閉め忘れていることもよくあったので、学校を開けてもらえるのはありがたいです。

民間に預けると、金銭的な面でも、子どもの精神面からも不安がありました。学校という場所は安心できます。

不安に思っていた保護者も実際に見守り員と話し、また、過ごす場所を見て、安心していただいているようでした。
子どもたちは、ボードゲームやカードゲームなどで見守り員と一緒に楽しそうに遊んでいました。

見守り風景

登校時間の8時になると、教室へ向かいます。
みんな勉強頑張ってくださいね!

8時になったので教室へ

見守り員ってどんな人?

子どもたちを元気に送り出した見守り員さんにもお話を伺いました。

見守り員

この7時開門の見守り員を募集していると聞いて、いい取組みだと思って応募しました。子どもたちと遊ぶことが好きなんです。
まだ利用する子どもたちは少ないですが、これから給食が始まって利用する子どもが増えたら、状況にあわせてやり方を変えていきたいと思います。
見守り員がどんな人なのかという保護者の心配の声もあると聞いていました。保護者が子どもたちに付き添って登校された時にお話をして、昨日の子どもの様子をお伝えすると安心してもらえています。
まだ数日間ですが、子どもたちは、家でYoutubeを見るより、おっちゃんと神経衰弱をする方が楽しいと言ってくれている。とても嬉しいですね。
子どもはすごいです。初めて会った子も、すぐお友達になれる。子どもたちにとって、短い時間ではありますが、いろんな子と触れ合う良い時間になればと思っています。

校長先生の声

今回の取組みについて、学校はどう感じているのでしょうか。校長先生に聞いてみました。

これまでは、安全のため校門を早めに開けていましたが、校舎の中に入って何かあると対応ができないので、8時までは校舎の外で待ってもらっていました。今回の事業では、体育館で見守り員がついてくれます。誰かが見てくれているというだけで安心感があります。

学校施設内ですので、学校側の負担感が完全に0なのかというと現段階では未知数です。ただ、見守りの人がいることによって対応は丁寧になります。少しでも子どもたちにとって安全に始業を迎えられるようにしてあげたいと思います。

教員の勤務時間は8時30分からです。しかし、学校の門は8時に開きます。子どもの安全を考えるのであれば、8時30分に門を開けることが基本なのかもしれないですが、現実を見るとそれは難しいです。今回の7時開門は一つの答えになるのかなと思います。

教育委員会に聞いてみた

7時校門開放の取組みを担当する教育委員会の職員に、話を聞きました。

学校施設管理課の桑田さん
学校施設管理課の桑田さん

「小1の壁」ついては、おそらく、全国どこの教育委員会も感じていることではないかなと思います。
今回の取組みでは、教職員の勤務時間を変更しないことを基本として進めました。そのため、市の予算で各校に見守り員を2人、警備員を1人配置し、教育委員会の責任のもとで行っています。
子どもたちの安全面を一番に考えたうえで、保護者の多様な働き方を支えることが大事だと思っています。
場所については、体育館が基本ですが、学校によっては多目的室を使用している学校もあります。
現在のやり方が最終形ではありません。ルール作りはもちろん必要ですが、今後グラウンドを使えるようにするなど、一つ一つ状況を見ながら課題をクリアし、柔軟に対応していきたいと思っています。
私自身も子育てをする中で、子どもがちゃんと学校に行っているかなどを気にしながら通勤していたので、こういう制度があったら良かったなと思います。

「小1の壁をぶっ壊せ!」

7時開門は始まってまだ数日です。子どもや保護者、学校等の関係者のみなさんのご意見を聴きながら、この事業をより良いものにしていきたいと思います。

豊中市では、今回ご紹介した7時開門に加え、放課後こどもクラブ(学童)の預かり時間の延長や、日曜祝日開設も導入していくことで、こども園から小学校へ入学した際の壁を解消する取組みを進めています。
豊中市が掲げる「子育てしやすさNO.1」では、小1の壁の解消以外にも、様々な施策をこれから順次実行に移していきます。

※こちらの記事に、今「子育てしやすさNO.1」を掲げる理由 と題して、詳しく書いていますので、ぜひ見てみてください。

これからも、「子どもや子育てする保護者を社会全体で支えていく」、この考えを基本軸として、子育てしやすさNO.1を市役所一丸となって進めていきます。

これからも、子育てしやすいまち豊中の新しい取組みを紹介していきます。次回の投稿をぜひお楽しみに!

みんなにも読んでほしいですか?

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